乳酸と乳酸菌って同じなの?
乳酸と乳酸菌は混同されがちですが、全く違うものです。
ざっくりといえば乳酸は有機化合物の一種である「物質」ですが、乳酸菌は細菌であり「生物」なのです。
さらにいうと乳酸菌は、人の腸内で乳酸を生成する役割をもっています。
乳酸菌というのは、ブドウ糖を代謝して乳酸を生成する細菌類の総称であり、約600種の存在が確認されています。
乳酸を生成する細菌類は多く存在しますが、材料として使用するブドウ糖に対し、50~100%の割合で乳酸が生成できるものだけを乳酸菌と定義しています。
乳酸菌は腸内に生息しているというイメージが強くありますが、実際には自然界の中にも多く生息しています。
腸内にいる乳酸菌は、ビフィズス菌などと合わせて善玉菌とよばれます。
善玉菌が乳酸や酢酸を生成することで、腸内の環境が整えられ、正しく機能するのです。
乳酸菌を始めとした善玉菌が減少すると、悪玉菌が増殖し、腸内環境が乱れて不調に繋がります。
一方の乳酸といえば、運動というイメージが強いと思います。
運動をすると、必要なエネルギーを作り出すため、筋肉の中でブドウ糖が分解されます。
そのときに作られるのが乳酸です。
激しい運動で乳酸がたまった…という表現は、よく聞くと思います。
しかしその乳酸とは別に、腸内にある乳酸は、乳酸菌がブドウ糖を代謝することで生成されます。
この乳酸や、善玉菌によって作られる酢酸などによって、腸内は弱酸性の状態をキープしています。
弱酸性が腸にとって正しい環境です。
乳酸は腸を刺激して排便を促す蠕動運動を活発に行わせるため、便秘の解消に効果的です。
また弱酸性の環境下では、腸が健康に正しく機能するため、便の水分を調節し下痢をおさめてくれる効果も期待できます。
この他、抗アレルギーや抗癌、免疫力の向上にも乳酸菌や乳酸は役立ちます。
しかし乳酸菌が減って乳酸の生成が少なくなると、悪玉菌が増えて優位になり、腸内はアルカリ性になります。
すると腸の機能が低下してしまうのです。
腸の機能を回復させるには、乳酸菌を増やし、乳酸をしっかりと生成してもらう必要があります。
乳酸菌や乳酸を増やしたい場合には、体外から乳酸菌を摂取するのがいいでしょう。
ヨーグルトや乳酸菌飲料、ナチュラルチーズ、漬物や味噌などに多くの乳酸菌が含まれています。
またこれらの食品と一緒に、オリゴ糖や食物繊維を摂取するとより効果的です。
オリゴ糖や食物繊維は乳酸菌のエネルギー源になりますので、乳酸菌の働きが活発になり、乳酸も多く生成されるようになるのです。